ポートフォリオ方針④
このシリーズ最後です。
前回までにご紹介したETF・個別銘柄のコール・オプションを売る(=カバード・コール)ことでオプション収入を得ます。
以下、取引例です。
今(2019/3/12)のSPYを100株保有しており、価格は279ドル/株とします。
MAR29'19 284call 0.46
これは2019年3月29日を権利行使日とする、権利行使価格284ドルのコールオプションを0.46ドル(1株で取引単位は100株から)で売ることを意味します。
もう少し補足すると、このオプションを売ることで46ドル(=0.46×100)がオプション収入としてもらえますが、
①3/29の時点でSPYが284ドル以上であれば、たとえ何ドルであっても284ドルで売る義務が生じます。(オプションの買い手が権利行使し、284ドルで買える権利が発生)
②3/29の時点でSPYが284ドル未満であれば、売る義務は発生しないため、すでに受け取った46ドルはそのまま利益になります。
仮に②の場合、17日で0.46ドルの利益ですから、年率換算(0.46÷279÷17×365)は3.5%になります。
実際は、②のケースばかりでなく、①のように思ったより株価が上昇し、本来得られた利益を逃すこともあります。(=すなわち、ある一定以上の値上がり益を放棄する対価として収入を得る取引です。)SPYを売りたくなければ、当初売ったコール・オプションを高く買い戻す必要も生じます。
また、株価自体が下落基調の場合は、その下落をカバーできるようなリターンは得られず、トータルでは損失となります。
とはいえ、今の価格の2%程度上の権利行使価格のオプションを売る場合、その多くが権利行使に至らず消滅します。また、カバード・コール自体にリターン向上・リスク軽減の効果があるとともに、定期的なキャッシュインが期待できます。
※詳しくは、以前にご紹介したKAPPAさんのシリーズをお読みください。
ポートフォリオ方針③
またまた続きです。
④ タイミングモデル
これは、移動平均投資やレラティブストレングス投資を実践されている、このブログから発想を得ました。
詳しくは、こちらのブログを見ていただきたいのですが、
論より証拠で、タイミングモデルのシュミレーションを見て下さい。
青線・・SPYとTLTのローテーションモデル
その月の終値<過去8か月の終値の平均値 なら、売却してTLTに乗り換え
赤線・・SPY(S&P500)のバイホールド
このタイミングモデルでは、バイホールドに比較して、リターン・リスク・最大ドローダウン全てが改善しています。特に、バイホールドの場合、最大ドローダウンが▲50%を超えていますが、タイミングモデルでは▲20%と大幅に軽減されます。
この傾向はSPYだけでなく、EFA(米国以外先進国)やEEM(新興国)でも確認できますので、改めて紹介いたします。
ポートフォリオ方針②
前回の続きです。
① TLT
株式などのリスク資産との逆相関に動く性質から、ポートフォリオのリスクを下げることを期待しています。最近では、金利上昇に伴い、価格下落圧力が強いですが、株価が崩れた時は逆に買われる傾向があります。
次のグラフは、SPY(青線)とTLT(赤線)の関係を比較したものです。
② 世界株式
VT(世界株式)、VIG(米国連続増配)、VWO(新興国)、MCHI(中国)、1577(日本高配当)で構成しています。これらETFは、他の米国株ブロガーさんも詳しく紹介されています。
個人的には、VTの配分よりも日本、新興国のウエイトを増やしています。
③ 高配当資産
各銘柄はまた改めてご紹介します。このカテゴリーでポートフォリオ全体の50%の配当を生み出しています。平均配当利回りは6.8%(税引き前)となります。
ポートフォリオ方針①
現時点(2019.3月)でのポートフォリオの考え方です。
② 25%・・世界株式ETF
基本はVT、VWOで、米国50%、日本10%、中国10%、その他先進国20%、その他新興国10%を目安にしています。
③ 25%・・高配当資産
HYG(ハイイールド)、EMB(新興国国債)、PFF(優先株)、IYR(不動産)、ARCC(BDC)、OHI(ヘルスケアリート)、FEN(MLP他)、HQH(ヘルスケアCEF)、NLY(mREIT)で構成しています。
④ 25%・・株式(タイミングモデル)
移動平均投資の考え方を取り入れています。
具体的に言うと、
その月の終値<過去Xか月の終値の平均値 なら、売却してTLTに乗り換え
SPY(アメリカ)、EFA(その他先進国)、EEM(新興国)で運用中です。
⑤ オプション取引
上記①~④を原資産とするコールオプションを売ります。(=カバード・コール)
オプション取引のきっかけ
オプション取引を始めたきっかけは、たまたま書店で見つけた次の本です。
それまでは、日経225オプションの存在は知っていましたが、その取引の意味
については全く理解しておらず、ましてや「カバード・コール」や「キャッシュ・セキュアード・プット」など意味不明の世界でした。
この本では、次のことが印象に残りました。
①カバード・コールやキャッシュ・セキュアード・プットは、オプションの対象となる資産(S&P500、RUSSELL2000)のバイ・ホールドと比較して、リターンを高めてリスクを抑える効果があり、エビデンスも確認されていること。
②オプションを利用することで定期的なキャッシュフローを獲得できること。
これをきっかけにオプションの世界を覗いてみたくなり、IB証券に口座を開設し、 おそるおそる取引を開始しました。
米国株オプションは、日本語ベースの情報は少なく、KAPPAさんのシリーズや以下のブログで勉強しました。今でも定期的に訪問させていただいています。
KAPPAさんのKAPPA’s blog
ishi pponさんのマッタリバリュー投資とカバードコール
投資遍歴
投資歴は約16年です。
2003年
アクティブ型投資信託から始めました。
この頃の保有銘柄は、「さわかみファンド」「グローバルソブリン」「エマージングソブリン」「シティオーストラリア毎月分配ファンド」「HSBCチャイナ」「HSBC BRICs」「インベスコ小型・店頭株」・・・などです。
書いていて懐かしくなりました(笑)。
2007年
徐々に投資の勉強を進め、パッシブ型投資信託や海外ETFに乗り換えていきました。この頃の保有銘柄は、海外ETF(IVV・EFA・EEM・IJR)やインデックス投信(先進国株・外国債券・エマージング株)、国内ETF(1306など)が中心でした。
2013年
マネックス証券で米国株取引が低コストで可能となったことを契機に、海外ETFにほぼ一本化しました。また、あわせて海外口座(IB証券)を開設し、オプション取引を開始しました。
保有銘柄は、VT・VB・VSS・VIG・VWOなどのvanguardの低コスト株式ETFやTLT・BND(債券)、HYG(ハイイールド)・EMB(新興国債券)・IYR(不動産)・PFF(優先株)、ARCC(BDC)などです。
2016年~2018年
個別株を対象とするオプション取引のウエイトを増やし、順調に資産を増加。同時にVIX系ETNに関心を持ち、徐々にその魅力にはまります。
そして、2018年2月のVIXショック、12月の暴落にやられました。。。
2019年
もっぱら空売りしていたVXXが上場廃止されたことを契機にVIX系から一時撤退。 原点回帰し、配当とオプション収入の積み上げを愚直に続けます。